神保町ひとりぼっち

 2019年の2月25日は柴田聡子さんのライブを観に行った。後ろの人が辛口のジンジャーエールをこぼし、自分もこぼさないようにと気を付けながら開演を待つ。今日はもうすぐ新しいアルバムが出るということで新曲中心の構成だった。1曲終わるごとに「新しいアルバムに入ってます」と申し訳なさそうに、優しく宣伝活動をする柴田さん。その度に和む会場。とても安心できる空間。
 ここに来るのは2回目、まだ発表されていない楽曲を聴いて、なんとなくのメロディーと曖昧な歌詞を持ち帰って、”あの曲はなんていう曲なのだろうか”とか思いながら、タイトルが付くのを待つのはなかなか楽しい。3万借りたら5万返す歌は「佐野岬」で、猿になっても雉になってもきっとわかる歌は「心の中の猫」だった。
 「ワンコロメーター」はピコピコ音もいいけど、弾き語りはワンコードでギターをかき鳴らす姿がかっこいい。言葉を掛けて遊んでいるところもいい、こういうユーモアって大切だなぁと思う。確か柴田さんを一番最初に観たライブは、今は亡きNHK-FMライブビートというラジオ番組の公開収録で、その時に「ワンコロメーター」を初めて聴いてからというもの、いつ発表するのかと待ち侘びていた。
 途中のMCで、最近NBAにハマっているという話をしていたから、この話題を携えて終演後に購った詩集にサインをもらった。とても緊張した。「またお話ししましょう」と言っていただき、帰り道はまるでこれから旅行にでかけるみたいにワクワクしていて、縁石の上を駆けてしまった。

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変わらないまま

 去年の今頃と似たような生活をして、似たような感情で過ごしている。それはとても良くないことだと知っている。会いたい人に会って、行きたいところに行って、食べたいものを食べる、ということが自分にとってはハードルが高く実行することが難しい。逃げるように、縋るように、音楽やラジオを聴くけれど活力源には至らず、モヤモヤとした気持ちになり溜息を吐く。でも幾ばくか気持ちを和らいではくれる。長いモラトリアムもやっと終わりを迎えるというのに、この体たらくであって本当に社会に出て生きていけるのかと不安になる。頼りにできる人が一人もいないこの状況は、かなり厳しいものだと最近になってようやく認識した。逆に、頼れる人が一人でもいれば人生で起こるあらゆる困難に対する強度は大きく違うように思う。